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2014年1月のアーカイブ

副腎疲労症候群とDHEAについて!

赤の太字からはリンクします

昨年の8月30日に銀座上符クリニックの上符正志先生が「若くて疲れ知らずの人は副腎が元気」という本を出版されました。
その本の中で紹介されている副腎疲労症候群という病名は、まだ日本ではあまり知られてはいませんが、副腎疲労症候群で現れる症状を列挙しますと、その症状が自分に思い当たるという方はかなりの頻度でいらっしゃいます。
よって、今月のマンスリートークでは、上符正志先生の新刊の内容を紹介するとともに、副腎が生み出すスーパーホルモンDHEAの素晴らしさについて解説したいと思います。なおDHEAのサプリメントのことは、当院9月のマンスリートークの⑧に記載がありますから、そこも参考にして下さい。
では、はじめに下記の31個の項目の中で自分に当てはまるという項目がいくつあるかチェックしてみて下さい。

1. ストレスやプレッシャーへの対処能力が以前より低下した。
2. 仕事の生産性が以前より低い。
3. 認知能力が低下したように思う。 以前より物事を明瞭に考えられない。
4. 周りから急がされたり、プレッシャーをかけられると、思考が混乱する。
5. 感情的になる状況を避けがちである。
6. プレッシャーをかけられると、神経質になりやすい。
7. 緊張すると、胃もたれ、胃痛を起こしやすい。
8. 原因不明の恐怖や不安を多く抱えている。
9. 性欲が以前より著しく低下している。
10. 座った状態や横になった姿勢から急に立ち上がると、立ちくらみやめまいがする。
11. 貧血のようなめまいや失神を起こす。
12. 慢性的に疲れている。 たいていの場合、眠っても疲労が解消されない。
13. たいてい、いつも体調がすぐれない。
14. くるぶしが時々むくんでいる。むくみは夕方のほうがひどい。
15. 心理的または情緒的なプレッシャーやストレスを受けた後には、たいてい横になったり休養したりする必要がある。
16. 筋力が低下しているように感じる。
17. 手足がむずむずする。
18. アレルギーを起こすようになった。または、アレルギー反応の頻度や重症度が増加した。
19. 皮膚をひっかくと、白線が1分間またはそれ以上残る。
20. 顔、首、腕にシミが増えた。
21. 全身がだるく感じられる。
22. 原因不明の頭痛がしばしば起こる。
23. 冷え性である。
24. 風邪をひきやすい。
25. 血圧が低い。
26. ストレスを受けるとお腹がすいたり、混乱したり、ふらふらしたりする。
27. 非常に疲れてだるい時期に、理由なく体重が減ったことがある。
28. 無力感や絶望感がある。
29. 忍耐力が減った。他人に対して以前よりもイライラする。
30. 首のリンパ節が腫れていることが多い。
31. 理由もなく吐き気がしたり、実際に嘔吐したりすることがある。

結果はいかがでしたか?
当院は産婦人科と心療内科を標榜しているため、男女とも上記の緑文字の訴えの方が多数いらっしゃいます。31項目の中から数箇所が自分に当てはまるという方は、実は今回の題名である副腎疲労症候群の可能性があるのです。
副腎とはわき腹と背中のあいだ、左右に2つある腎臓の上にちょこんと乗った小さな臓器です。重さはわずか3gしかありませんが、さまざまなホルモンを作っては出している重要な内分泌器官です。
はじめにも書きましたが、スーパーホルモンと呼ばれるDHEAはこの副腎で作られています。
副腎疲労症候群が進行すると、「人生に何の意味も感じられない。楽しいことがひとつもない。人に会いたくない。人生の全てがむなしい。」といった症状に陥ります。
この状態は、うつ病の症状にそっくりですね。
うつ病で心療内科や精神科に通院して抗うつ剤を飲んでいても一向に良くならないという方の中には、副腎が疲れることで起こる二次的な「うつ様症状」の方がかなりいます。そのような方の場合、血中DHEAを測定すれば低値であることが証明されます。
普通のうつを患っている人のDHEAを測定した場合でも、うつでない人よりは確実に低値であるということも分かっています。
当院の心療内科では、うつ症状で受診した男性には、まず血中DHEAを測定して低値であることを確認してからDHEAのサプリメントを飲んでもらっていますが、皆さん「抗うつ剤だけを飲んでいたときより体調がいい。」と言われます。

アンチエイジング医療の世界では、体内年齢を決めるのはライフスタイルだけではなく、ホルモンの影響が大きいと捉えています。その指標となるのは成長ホルモンとDHEAです。
成長ホルモンは筋肉、骨といった細胞を成長させるホルモンですが、一方DHEAはストレスに対抗するホルモンです。
DHEAは女性の場合は25歳くらいをピークにゆっくり低下していきますが、男性の場合は40歳を過ぎたあたりで急に低下します。
20歳の頃に比べると実に半分以下になってしまうのです。
40歳前半で男性の体力が落ちたり、病気や怪我をするという原因の1つがここにあるのです。
DHEAは体内年齢の指標になるホルモンですから、別名「若返りのホルモン」ともいわれます。DHEAの血液中濃度が高い男性ほど死亡率が低いということも、940人を被験者とした久留米大学医学部の研究から分かりました。

ストレスに対抗するホルモンとしては、DHEAの他にコルチゾールというものがありますが、コルチゾールとDHEAは常にセットで働きます。
そのメカニズムを以下で説明します。
ストレスがかかると、からだはそれに対抗するために、まずコルチゾールを分泌します。
コルチゾールには血糖値や血圧を上げる作用があります。
外的から襲われたとき、闘うにしろ逃げるにしろ、命を守るためには多くのエネルギーが必要です。
そこで、ここぞというときにはコルチゾールの働きで、からだを動かす直接のエネルギーである血糖値を上昇させる仕組みがあるのです。
しかし、残念なことは、コルチゾールが分泌されると大量の「活性酸素」が発生してしまうのです。活性酸素が発生するとからだのDNAを傷つけ、その結果「からだの錆び」と表現される老化を起こしてしまいます。
そのコルチゾールによるからだの錆び(酸化)を防いでくれるのがDHEAなのです。
ストレスを受けたとき、DHEAはコルチゾールとほぼ同時に体内で分泌され、急激に上がったコルチゾールレベルを元の状態に戻すように働きかけてくれます。
このような理由から、コルチゾールをストレスホルモンと呼び、DHEAを抗ストレスホルモンと呼ぶわけです。
また、コルチゾールが酸化ホルモンなら、DHEAは強力な抗酸化ホルモンということで、2つのホルモンは相反する働きで私たちのからだを守ってくれています。

DHEAの働きは抗ストレス作用だけではなく、実にさまざまな役割を果たしています。
免疫システムの主役であるリンパ球の活性化や脂肪の代謝を促して肥満の予防もしてくれます。
DHEAは体内で男性ホルモンと女性ホルモンにも転換されますので、生殖能力にも多いに関わります。
男性には記憶力の強化のために女性ホルモンが必要ですし、女性には筋力を作るため男性ホルモンの働きが必要です。
男性には女性ホルモンを分泌する卵巣がなく、女性には男性ホルモンを分泌する精巣がないので、どちらもDHEA由来の性ホルモンの恩恵にあずかることになります。
DHEAは最終的には何と50種類ものホルモンに転換されます。
女性の場合、DHEA由来の男性ホルモンが筋肉を作ってくれれば体温が上がり、それによってリンパ球の活性化が起こり、結果的にガン抑制効果が出ます。
男性の場合では、DHEA由来の女性ホルモンが脳の神経細胞の結合を促して記憶力の強化をしてくれます。
DHEAは性ホルモンに変換されることから、マザー・ホルモンとも呼ばれています。
女性の場合、本当の意味でそうなるのは、卵巣の機能が衰える更年期以降の話です。
思春期から50歳前後まで女性ホルモン全体の90~95%は卵巣で作られますが、閉経を迎えると卵巣が働かなくなるため、その後はDHEAから変換される女性ホルモンが主役となります。すなわち、更年期以降の女性はみな、スーパーホルモンであるDHEAにサポートされているのです。
ここでアンチエイジング外来にて行う血中ホルモン検査の種類と目標値を記載します。

男性の場合。

ホルモンの種類 目標値
IGF-1(成長ホルモン) 120~180ng/ml
DHEA-S(抗ストレスホルモン) 150~250 μg/dl
コルチゾール(ストレスホルモン) 6μg/dl以下
テストステロン(男性ホルモン) 225~1030 ng/dl
遊離テストステロン(男性ホルモン) 8~16 pg/ml
エストラジオール(女性ホルモン) 19~50pg/ml

 

女性の場合。

ホルモンの種類 目標値
IGF-1(成長ホルモン) 120~180ng/ml
DHEA-S(抗ストレスホルモン) 150~250 μg/dl
コルチゾール(ストレスホルモン) 6μg/dl以下
テストステロン(男性ホルモン) 30~100 ng/dl
エストラジオール(女性ホルモン) 30~50 pg/ml
プロゲステロン(女性ホルモン) 5~8pg/ml

上記の項目は外来で採血して7日~10日前後で結果が出ますから、自分のホルモン値が心配な方は、まず医療機関で測定を受けて、結果として不足が判明した場合は、それを補給するサプリメントの摂取をお薦めします。
たとえば、不妊の治療を受けている女性のほとんどは、DHEAの値が極端に低いことが分かっています。前半に書いた31項目の中の18番と19番の症状は皮膚科でよく見られますが、この場合も副腎疲労症候群を合併している場合が多々あります。
コルチゾールには炎症を抑える作用もあります。
アレルギー疾患で処方されるステロイド剤とは、実はこのコルチゾールの化学物質なのです。
ホルモン検査をして、コルチゾールとDHEAの両方が下がっている場合、予防医学ではまずDHEAのサプリメントを投与してDHEAの底上げをします。
このサプリメントは合成でなく、天然のホルモンです。
約4ヶ月で効果が見られるのですが、服用をやめてしまうとぶり返しが来るので、基本的には1~2年単位で処方を続けます。

昨年まで、当院ではアトピーetcのアレルギー疾患の方にはDHEAの測定や投与をしていませんでした。
しかし昨年9月のマンスリートークで紹介したように岡山のgdmクリニックではアトピーの方に積極的にビタミンCとDHEAを処方して好結果を出しています。
当院の外来にて、アトピーの方に対してビタミンCの必要性は今までにも十分に伝えて来ましたが、2014年からは、DHEAについても啓蒙したいと思います。
DHEAやコルチゾールは外来で簡単に測定出来る項目ですので、測定希望の方は通院時に、測定希望とおっしゃって下さい。
またDHEAサプリメント希望の方には、ビタミンCと同様にPure社のDHEAを処方いたします。
このDHEAサプリメントは、数行上にも書きましたが、天然のホルモンなので適正量ならば長期服用しても副作用は考えなくて大丈夫です。
以上、副腎疲労症候群とDHEAという題名でここまで述べて来ましたが、簡単に要約すると次の2点がポイントです。

① 昨年まで当院では男性のうつ状態の方にはDHEAの測定を行い、低値を確認してからDHEAサプリメントを投与していたが、これは女性のうつ状態の方にも有効と思われる。
② 今まで、アレルギー疾患の方に
副腎疲労症候群の説明をして来なかったが、2014年からは恒例の「アトピー完治法」の中にこの説明を加えるとともに、その方のDHEA低値を確認したら積極的にDHEAサプリメントを推奨する。

現在、通院中の方や、今まで通院していなくとも今回の副腎疲労症候群の内容に興味を持った方は、外来にてDHEA測定希望とおっしゃって下さい。
そうすれば、その日に採血して約10日程度で結果をお教え出来ますし、数値が低ければ、この素晴らしいDHEAサプリメントを処方することが可能です。
追記ですが、今回の「若くて疲れ知らずの人は副腎が元気」を書かれた上符先生は遅発型食物アレルギー検査の日本における第1人者です。
この検査については、上符先生自身が分かりやすく解説した動画(基礎編、応用編)11月のマンスリートークの中から見られるようになっていますので、原因不明の病気で悩んでいる方は、そちらの画像も是非ご覧下さい。

文責

谷口雄一

宝地図用紙のプレゼント!

赤の太字からはリンクします

2011年5月のマンスリートークで1度宝地図を紹介していますが、今月、その著者である望月俊孝さんから新しい宝地図の用紙が送られて来たので、皆さんにプレゼントしたいと思います。
詳しい利用の仕方は、2011年5月のマンスリートークの内容を参考にして下さい。
上の宝地図の用紙という文字をクリックして、用紙をダウンロードして具体的に自分の願望を過去形でお書き下さい。

追記!
2011年4月のマンスリートークの前半に書いてあるのですが、2011年5月のマンスリートークの内容は、実際は2003年に書かれたものです。
その頃は、大震災後のバタバタでとてもマンスリートークを書いている時間が取れなかったため、過去の当院HPの中から評判の良かったものを順に再紹介していました。

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