瀉血(しゃけつ)とは、人体の血液を外部に排出させる事で症状の改善を求める治療法の一つである。古く中世ヨーロッパで広く行われたが、現在は限定的な症状に対してのみ他の療法と併用して用いられる。現在の医療行為としては静脈切開ともいう。 伝統中国医学にないし鍼灸治療に刺絡(中国式表記では刺血)があるが、これは過去のヨーロッパや現代でも行われる積極的に血管を切開して出血させる瀉血法とは別のものと見る考えもある。ただ、第162国会質問主意書第26号(2005年6月14日)答弁に拠れば定義がはっきりしておらず、「個々の事例に則して判断されるべきもの」としている。
体内に溜まった不要物や有害物を、血液と共に外部に排出させる事で、健康を回復できるとかつては考えられていた。初期の頃には創傷などによって皮下に溜まった膿を排出させるため、一度癒着した創傷部を切開した事に由来するといわれている。また鬱血によって皮下に溜まった血液を排出させる事で、治癒を促すともいい、中国医療の鍼では、患部に小さな傷を付け、陰圧にしたガラス製の小さな壷を付け、血を吸い出す療法もあるが、血液を体外に出す是非に関しては、現在の所では効果の程は不明であるとされる。 なお現在の日本の法律では、患者の体を切開することは医療行為にあたり、医師にしか許されない。無資格で行えば医師法違反(無資格医業)により処罰の対象となる。前述の刺絡に関しては瀉血であるか否かが議論となっているが、2006年2月1日に瀉血を行なったとして逮捕者を出した(同5月11日に有罪判決)。日本刺絡学会の弁に拠れば、(瀉血は血管を切って血を出すものだが)刺絡は身体の所定の箇所(いわゆる「ツボ」)の皮膚に鍼を刺すか小さく切開して、指で絞る(このほか負圧にした小さなガラス容器を吸い付かせるなども)などして血を少量出すだけの、瀉血とは考え方も方法も(加えて排出される血の量も)異なる方法だとしている。ただ一部では、こういった事情にも絡んでか刺絡にしても積極的に血を絞り出させない施術を行なうところも出てきている模様である。

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