体が錆びつくことを
酸化といいます。その反対を
還元といいます。すなわち還元とは酸化した細胞をもとに戻し、病気体質を健康体に直すことです。還元力のある水を毎日多量に飲むと体のなかの活性酸素を減らすことができます。以前ブームを起こしたアルカリイオン水ではアトピーの改善には1日最低5~6ℓが必要でした。その高級型の還元水は還元電位-250mvになりますが、それでも1日2~3ℓ必要でした。しかし最近出た
スーパーumoは還元電位が-400mvになるため、1日1Lでもかなり有効です。また水があまり飲めない人のための活性酸素を減らせるサプリメントとしてはアメリカ製のマイクロハイドリンや
アクティブエイチが有名ですが、個人輸入するため購入が面倒です。やはり現時点では、スーパーumoを溶かした水を少しでも多く飲むことがベストだと思います。
腸の中の善玉菌を増やすことがアトピーだけでなく生活習慣病すべてに有効です。金沢にある
アトポスの調査ではアトピー患者の主要腸内細菌数は正常者の千分の1から十万分の1であると判明しました。善玉菌を増やすには特殊なヨーグルト(
ヨーグルメイト)、
フラクトオリゴ糖、
ビートオリゴ、乳酸菌生産物質(
ビオネ、始元)などがあります。そのなかで一番即効性のあるものは乳酸菌生産物質のビオネですが、高額なのが難点です。最近、その廉価バージョンとして
ビオネーU、
カシスというものが発売されました。腸内環境を整えるもので、健康保険が使えるものとしてはビオフェルミン、ビオチン、ミヤBM, ラックビーなどが有名です。
アトピーの人はマグネシウムや
亜鉛の吸収が悪いため普通に食事していただけではミネラル不足になっていることが多いです。そのためミネラルのサプリメントを摂取することをお薦めします。総合ミネラルのサプリメントとしては、生物ミネラル、
ビオネの海草物語、マジックライトなどが各所で使われています。しかし、最近発売された
オールインワンという液体ミネラルは1日に15cc飲むだけでカプセルのサプリメント20個飲むのと同じ効力が期待出来るというすぐれものです。
また血液中亜鉛濃度は100mg/dl以上になることを目標にしています。当院では大人用と子供用の亜鉛粉末(1包に大人用は亜鉛45mg、子供用は亜鉛15mg)を作っていますが、大人用にはマグネシウムと銅も含まれています。またプロマックという胃潰瘍のクスリも亜鉛を15mg含んでいるため、粉が飲めない人で使うことがあります。
水道水に多量の塩素が入っていることはご存知だと思います。アトピーを治すためにはこの塩素の害を除かなくてはなりません。飲み水の塩素を除くのはもちろんですが、風呂の湯やシャワーのかけ湯でも塩素は除かなくてはなりません。
赤ちゃんのアトピー予防プロジェクト実施中の吉岡事務所(神戸)では、脱塩素に力を入れてアトピー予防に好成績をあげています。塩素を無害化する入浴剤として、当院では
ミセルというものを推奨しています。
遠赤外線サウナを使って発汗能力を高めると、同時に皮脂腺も開いて皮脂の分泌能力が上がります。アトピーの人は皮脂の分泌能力が極端に劣っているため乾燥肌となっているのです。1年間遠赤外線サウナ(1週間に2~3回以上が望ましい)をやると皮膚はずいぶん改善します。当院には体用の遠赤外線サウナ(
スマーティ)と顔用の
エレガンス10というものがありましたが、今年になってから
三井式温熱器というものも使っています。この三井式温熱器は美顔器としてエステサロンなどで使用されているものです。
当院では、この三井式温熱器を4月から希望の方に貸し出して、自宅でも使って貰って治療効果をより高めています。
星状神経節を低出力レーザーで刺激して交感神経の緊張をほぐす治療が、成人型アトピーではかなり有効です。
大阪の回生病院ではこの方法で治癒率70%にもなっています。この治療もやはり回数が多くないと効果は望めません。
ワセリンや尿素軟膏は油性ですので皮脂腺をふさいでしまいます。それゆえ当院では今まではスキンケアとして水性のゲルクリーム(
エバメール)だけを薦めていました。このゲルクリームは皮脂腺をふさぐのとは反対に新陳代謝を高めて皮脂からの分泌能力を増加する作用があります。しかし、現在は、最初に述べたいろいろなものを使用しています。
保湿としては羊水ローション(浜松医大の産婦人科で考案されたもの)、プラセンタクリーム(美容外科がリフトアップに使っているもの)、粒子が細かくてべたつかないのに保湿効果が8時間持続する
ナノ粒子化ワセリン。 一方、痒みに対しては漢方の外用薬である
神仙太乙膏、プロポリスペーストを使います。神仙太乙膏の本を書かれている
木下繁太朗先生は著書の中で
神仙太乙膏+馬油+プロポリスの合剤を薦めています。当院の
プロポリスペーストには馬油と蜜蝋が含まれているため、
神仙太乙膏に
プロポリスペーストを混ぜると、結果として木下繁太朗先生のご推薦の軟膏になります。この軟膏を使い始めてまだ数ヶ月ですが、皆さんリピートされています。2009年5月時点において、ステロイド以外のアトピー治療の外用薬としてはこれが1番のようです。
上記のこと以外にも㏗2.7の超酸性水を殺菌に使ったりもします。以前あったモクタールは製造中止になり、代わりとしてグリパスCというものを使っていましたが、これも1月で製造中止になりました。最初に述べた
プラセンタ注射は東京の吉田クリニックが始めた治療法ですが、成人ですと
週に1回~2回注射すると効果がみられます。
高濃度ビタミンC点滴は元々はアメリカでガンに対して行われていた治療法ですが、今は
ガン以外アトピーやうつ病などにも行われています。当院でも希望者には約1時間かけて行っています。
タヒボ茶はガンに有効なものとして特許を取っている唯一のお茶ですが、痒みのもととなる
ヒスタミンレベルを下げることが証明されています。外用プロポリスは既に述べましたが、プロポリスは飲んでも痒みの軽減がみられ、また
プロポリスで作られた入浴剤はユーカリの香りがしてアロマ浴の効果もあります。マイナスイオンはセルミ医療器のもので、いろいろな効能をうたっていますが、印象としては星状神経節ブロックと同程度の効果と感じています。
上記の治療でもまだ改善不十分の方には、
「免疫を高めると病気は必ず治る」の著者である
安保徹先生と福田稔先生が行っている刺絡療法も希望者には指導しています。ごく最近、この刺絡(
瀉血ともいいます)と
プハン(韓国でカッピングとか吸い玉と呼ばれている手技)を同時に行う刺絡(瀉血)+プハン合体治療を始めました。プハンは
プハン普及会の望月佐知子氏から指導を受けて始めました。刺絡(瀉血)+プハン合体治療は特殊なハリを使うため、誰でも出来る技術ではありませんが、数年来の重症の方なら試してみる価値は十分あると思います。この手技は当院の外来では15分以内で出来ます。プハンによる明らかな改善が見られるのは、一応3ヶ月と思って下さい。当院にはまた患者さん自身が自分で刺絡を出来る安全な道具もあるため、それを使えば誰でも自分自身で簡単に刺絡治療を行うことが出来ます。 また、最近は漢方治療として2つのクスリを主に使っています。1つは、
大阪市立大皮膚科で難治性アトピーに有効であることが実証された補中益気湯で、もう1つは痒みに効くだけでなく、自律神経失調症や不眠症にも使われる
高砂サフランです。高砂サフランは、今までは皮膚科よりも耳鼻科や精神科で使われることが多かったのですが、この完治法の6番に書いた自律神経のバランスを整えるという意味からも、今後はアトピー性皮膚炎に使われる機会が増えると思います。
食物アレルギーに関しては、保険の範囲では今でも即時型のIgE検査しか出来ません。 この検査は食事直後の蕁麻疹の原因物質をみつけるのには有効なのですが、数日たってから痒みを起している食べ物があったとしても、それをみつけ出すことは出来ません。 そのような原因物質をみつけるためには、遅延型反応を見られる
アメリカのIgG検査が非常に有効です。この検査は日本では出来ないため、アメリカの施設に血液を送らなければなりません。当然、日本の健康保険は効きませんから、価格はIgGだけで23,760円、IgGとIgE両方を依頼すると31,700円かかります。
しかし、何年もアトピーで苦しんでいて、日本の検査では全く原因が見つからなかった方には是非ともお薦めしたい検査です。今までは東京の
健康増進クリニック(水上治院長)くらいしかこの検査が出来ませんでしたが、今年から当院でも同じ検査が出来るようになりました。
前回の2003年版にも書きましたが、当院は真剣にステロイド離脱に取り組む方には出来るだけのお手伝いをしたいと思っています。しかし、ステロイド離脱は簡単なものではないので、本人が自分から努力しないと駄目です。他人任せ、病院任せにしないで、自分が自分の体を立て直すという意識で頑張って下さい。