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アトピー完治法(2012年版)
- 2012年7月9日 3:21 PM
- アトピー完治法(2012年版)
前回のアトピー完治法を書いてから早くも2年が経過しました。また、内容を書き直さなければならない時期が来たため、今月のマンスリートークでは当院がいま行っている2012年版のアトピー完治法を公開致します。
プラセンタ療法、神仙太乙膏、高濃度ビタミンC点滴、飲むプロポリス、プロポリスペースト 、プロポリス入浴剤、べたつかないワセリン(DR-X)、そして食物アレルギーの遅延型反応の検査(血液のIgG検査)については2年前と同じです。
現在、当院では大人のアトピー患者さんでステロイドなしの治療を望まれる方にはアメリカタホマクリニックのジョナサンライト博士の治療法をそのまま取り入れています。
ジョナサンライト博士の治療内容については以前のマンスリートーク(2010年7月、8月、9月)に詳しく書いてありますが、簡単に述べるとELISA試験(食物アレルギーのIgG検査のことです。)という血液検査で原因物質を特定し、この検査で陽性に出たものをすべて除去しながらビタミンA, ビタミンC, ビタミンE,亜鉛、ボラージュの5種類のサプリメントや腸内細菌の質を高めるプロバイオティクスを摂取するという治療方法です。
それらの中でもアトピー改善のためには何といってもビタミンCが一番重要です。
当院に初めて受診される患者さんには全員迅速尿中ビタミンC検査(VitaChek-C)を実施して本人の体の中のビタミンCがいかに低いかを実感してもらっています。そしてジョナサンライト博士が使用しているPURE社のビタミンCサプリメントを1日に5個摂取してもらいます。これは日本のシナールならば25袋分に相当する大量です。尿中ビタミンCが最低に近い方にはこれだけでなく日本製のプレミアムビタミンCというものも追加します。この日本製のプレミアムビタミンCは非常にゆっくりと体に吸収されるという特徴があるので1日2個で十分です。体内のビタミンC濃度を高める手段として本当は高濃度ビタミンC点滴がベストなのですが、この点滴は1回1時間近くかかるため忙しい皆さんがまめに受けるのは難しいと思います。それに代わる方法として当院ではPURE社のビタミンCと日本製のプレミアムビタミンCの併用をお薦めしています。この両方を摂取しても1日に200円程度なので、長く続けるのに無理のない価格だと思います。
ここからあとは以前の内容の修正版です。
1. 活性酸素を減らすものを大量に摂取しましょう。
体が錆びつくことを酸化といいます。その反対を還元といいます。すなわち還元とは酸化した細胞をもとに戻し、病気体質を健康体に直すことです。還元力のある水を毎日多量に飲むと体のなかの活性酸素を減らすことができますが、外出しないで1日中家にいる人でもないとそれは無理です。そこで、今は持ち運びの出来るマジックライトというサプリメントとお茶の成分であるエピガロカテキンガレートというサプリメントを推奨しています。
2. 腸内環境を整えましょう。
腸の中の善玉菌を増やすことはアトピーだけでなく生活習慣病すべてに有効です。善玉菌の栄養素としては、フラクトオリゴ糖 、ビートオリゴ、乳酸菌生産物質(ビオネ、始元)などがあります。その中で一番即効性のあるものは乳酸菌生産物質です。アメリカではPURE社のプロバイオティクスというサプリメントが使われていますが、これは1日120円程度なので無理のない価格です。腸内環境を整えるもので健康保険適用のものはビオフェルミン、ビオチン、ミヤBM, ラックビーetcがありますが、いずれも保険外のものほどの効果は期待出来ません。
3. ミネラル(主に亜鉛)やビタミンを補充しましょう。
これについてはジョナサンライト博士の提唱する量を見本としています。ビタミンCに関しては既に述べました。ビタミンA, ビタミンE,亜鉛、ボラージュの量や何故それらが必要なのかに関しては2010年9月のマンスリートークの中に詳しく書かれています。皮膚症状改善のためには血液中の亜鉛濃度が100mg/dl以上になることを目標にしています。
当院では大人用と子供用の亜鉛粉末(大人用は1包に亜鉛45mg、子供用は1包に亜鉛15mg)を作っていますが、大人用にはマグネシウムと銅も含まれています。またプロマックという胃潰瘍のクスリ(亜鉛15mg含有)はなめると溶ける錠剤なので粉が飲めない方でも服用可能です。
4. 塩素の害から体を守りましょう。
水道水に多量の塩素が入っていることはご存知だと思います。アトピーを治すためにはこの塩素の害を除くことが必須です。飲み水の塩素を除くのはもちろんですが、風呂の湯やシャワーのかけ湯でも塩素を除く努力が必要です。当院では塩素を無害化する入浴剤としてミセルというものを推奨していましたが、これは香りが全くしないため入れていても面白くないという声が多々ありました。そこで今年になってからは塩素の害を防げると同時に香りも楽しめるプロポリス入浴剤とひばの湯の2種類をお薦めしています。
5.汗のかきやすい体にしましょう。
遠赤外線サウナを使って発汗能力を高めると、結果として皮脂腺が開いて皮脂の分泌能力が上がります。アトピーの人は皮脂の分泌能力が極端に劣っているため乾燥肌となっているのです。1年間遠赤外線サウナ(1週間に2~3回以上が望ましい)をやると皮膚はずいぶん改善します。当院には体用の遠赤外線サウナ(スマーティ)が設置されていますが、町中にある岩盤浴も遠赤外線サウナと同じような効果があります。
6.自律神経のバランスを保ちましょう。
当院の皮膚科に設置されている磁気治療器や点滴室にあるマイナスイオン治療器はこのための機器です。今年の5月からはオルゴール療法も始めました。オルゴール療法については2012年6月のマンスリートークをお読み下さい。
7. スキンケアはなるべく水性のものや自然のものを使いましょう。
ワセリンや尿素軟膏は油性ですので皮脂腺をふさいでしまいます。それゆえ当院ではスキンケアとして水性のゲルクリーム(エバメール)を薦めています。このゲルクリームは皮脂腺をふさぐことなく新陳代謝を高めて皮脂からの分泌能力を増加する作用があります。それ以外に当院でスキンケアとして使われるものには下記のものがあります。
保湿剤としては、粒子が細かくべたつきがないのに保湿効果が8時間も持続するというナノ粒子化ワセリン。 また痒みに対しては漢方の外用薬である神仙太乙膏、プロポリスペーストが中心です。神仙太乙膏の本を書かれている木下繁太朗先生は著書の中で神仙太乙膏+馬油+プロポリスの合剤を薦めています。当院のプロポリスペーストには馬油と蜜蝋が含まれているため、神仙太乙膏にプロポリスペーストを混ぜると、木下繁太朗先生ご推薦の3種類混合の軟膏になります。
ここまでに書いたこと以外にもpH2.7の超酸性水を殺菌に使ったりもします。
最初に述べたプラセンタ注射は東京の吉田クリニックやアンチエイジングで有名な日比野佐和子先生が行っている治療法ですが、成人ですと週に1回~2回注射すると効果がみられます。高濃度ビタミンC点滴はアメリカでガンに対して行われていた治療法ですが、今ではガン以外のアトピーやうつ病etcにも行われています。当院でも希望者には約1時間かけて25gのビタミンCを投与しています。外用プロポリスについては既に述べましたが、飲むプロポリスも痒みの軽減がみられ、またプロポリスで作られた入浴剤はユーカリの香りがしてアロマ浴の効果もあると同時に皮膚の殺菌効果があります。
2年前から極細の針で瀉血を行うと同時にプハン治療を始めました。プハンはプハン普及会の望月佐知子氏から指導を受けて始めました。瀉血+プハン治療は特殊なハリを使うため医師以外は実施出来ませんが、数年来の重症の方にはぜひとも試して欲しい治療法です。この手技は当院の外来なら15分以内で出来ます。プハンによって明らかな改善が見られるには約3ヶ月を要します。
また、漢方治療としては3つのクスリを主に使っています。1つは、大阪市立大皮膚科で難治性アトピーに有効であることが実証された補中益気湯、もう1つは痒みに効くだけでなく自律神経失調症や不眠症にも使われる高砂サフラン、3つめは脱ステロイドの経過を短縮してくれる十全大補湯です。高砂サフランは、この完治法の6番に書いた自律神経のバランスを整えるという意味から今後はアトピー性皮膚炎に使われる機会が増えると思います。
食物アレルギーに関しては、保険の範囲では今でも即時型のIgE検査しか出来ません。
この検査は食事直後に出る蕁麻疹の原因物質をみつけるのには有効なのですが、数日たってから痒みや発疹etcを起している食べ物があったとしても、それをみつけ出すことは出来ません。そのような原因物質をみつけるためには、遅延型反応を見られるアメリカのIgG検査が必須です。この検査は日本では出来ないため、アメリカの施設に血液を送らなければなりません。当然、日本の健康保険は効きませんから、価格はIgGだけで約23760円、IgGとIgE両方を依頼すると約31700円かかります。
しかし、何年もアトピーで苦しんでいて日本の検査で全く原因が見つからない方には是非ともお薦めしたい検査です。今年になってロート製薬からこの検査に関する分かりやすい小雑誌が出ました。当院は真剣にステロイド離脱に取り組む方には出来るだけのお手伝いをしたいと思っています。しかし、ステロイド離脱は簡単なものではないので、本人が自分から努力しないと駄目です。他人任せ、病院任せにしないで、「自分の力で自分の体を立て直すぞ。」という強い意識を持って頑張って下さい。
そうすればその努力が報われる日は必ずやって来ます。
文責
谷口雄一
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